桧あすなろ

  • 桧あすなろ
  • 事務屋。子どもの頃からずっと本好き(活字もその形態も)。
西の魔女が死んだ
西の魔女が死んだ
posted with amazlet at 14.07.12
梨木 香歩
小学館
売り上げランキング: 195,579

■梨木香歩
近い過去に再読したから、という認識でいたのだが、今日また読んで、読み終わってさっきブログを調べたら前回読んだのは2004年の暮れなのだった。わお、10年も前か! 
すごく大好きなお話しで、概要は覚えていたんだけど細部で忘れているところがいくつかあって「不覚」というか「意外」だったんだけどそうか、10年もまえじゃ仕方ないよなあ。

今回読みながら思ったこと。思い出すままに箇条書き。
・少女の潔癖って厳しいことねえ
・ギンジさんっとおばあちゃんの関係をもう少しちゃんと知りたかった
・ママとおばあちゃんの軋轢について、孫にとってはこんなに良いおばあちゃんなのに娘と母親となるとやっぱりまた違うのね
・っていうかママとおばあちゃんのことももう少し知りたかった
・そういえば梨木さんは結婚してからは家庭に入られて、のちに作家活動をされるんだよなあ、そのへんと絡めてもう少し……興味がある
・まいにはこんな素晴らしいおばあちゃんと家があって、避難できたけど、出来ない子のほうが多いと思う
・まいは一人っ子で両親の状況もあって引越し&転校が可能だったけど、そう出来ない子のほうが多いと思う
・まいはそういう意味では恵まれており、学校の問題は根本で解決していないから、渦中にある子は参考にできないよなあ
・でも少なくとも「学校に行かない」ことで大人がどうにかしてくれる、大人にはそれなりの力がある、助けてくれる大人ばっかりとは限らないけどまいの両親も祖母もまいを助けられて良かった
・銀龍草について前回読んだときは全然反応しなかったなあ キュウリグサ(ヒメワスレナグサ)はよく覚えていたんだけど あとクサノオウって茎折るとそうなんだ、へええー前回読んだはずなのに覚えてなかった
・銀龍草をネットで画像検索→うわあ……なんか現実じゃないみたい、植物じゃなくて生き物っぽい、にょろにょろとか宮崎アニメの森の白い精霊みたいだ 別名ユウレイダケって云うんだなあ きれいだけどちょっと不気味でもあるもんなあ
・死んだらどうなるか?って確かに十代のある時期とか気になるもんだよなあ
・まいのママの話を読んでみたいと思った、まいのママがこのおばあちゃんとどういうふうに暮らしていたのかとか
・それにしても「脱出成功」してそれからどうするんだろうか
2014/07/12|絵本・児童書・画集  
エンジェル・エンジェル・エンジェル (新潮文庫)
梨木 香歩
新潮社
売り上げランキング: 117,364

■梨木香歩
この話はいちおう児童書とされるのかな。
現代が舞台で高校生の考子の視点で書かれた章と、その祖母が女学生だった時代を描いた祖母視点の章が交互になっている。
単行本と文庫版両方持っているが、単行本はコウちゃん視点の章とさわこちゃん視点の章で文字の色が変えてある。文庫版は色は同じだけどさわこちゃん視点の章は旧仮名遣いになっている。

コウコはどうも精神状態が不安定なようで、1日にコーヒーを30杯は飲まないと頭がぼんやりする、どうもカフェイン中毒ではないかと最近になってようやく自覚したとか書いてあって「危ういなあ」と思う。いままで父の兄である伯父の家にいた祖母が同居することになったが、手洗いに立つ際などに助けが要る、自分の息子と孫を忘れているなどの状態(コウコの母親はこの姑に対して礼儀正しく接しきちんと世話をしていて、すごいなあ偉いなあとわたしなんかは思うがまだ高校生のコウコはそういう意識は特に無いようだ。だからしてこの物語の趣旨はそこにはない)。コウコは夜中に起きる生活パターンだったので、祖母の夜中の手洗いの手伝いを母に代わって引き受けることになる。そのご褒美に欲しかった熱帯魚を飼ってもいいということになった。エンジェルフィッシュとネオンテトラを買って、後からさらにネオンテトラを追加したのだが……。

さわこの家は豊かな農家で、年の近い女中さんのツネがいる。女学校ではさわこの幼馴染のかーこ派と、頭が良くて凛とした美少女の山本公子さん派に分裂している状態。公子さんはごく親しい友人にはコウちゃんと呼ばれていて、さわこは自分もコウちゃんと呼べる親しい仲になりたいけどかーことは昔からの仲だしなあ、という状態。担任の翠川先生の清楚な美しさに憧れている。そんなある日、さわこは偶然、放課後の教室でふたりっきりでいる翠川先生と泣いている公子さんを見てしまう。ふたりの親密な様子に大ショックのさわこ。次の日から公子のプリントを破ったりいろいろ嫌がらせをしてしまう。どんどん自分の中の黒い部分が膨れ上がって行って、自己嫌悪で苦しむさわこ……。

少女の潔癖さによる自責の強さと、他人に対しての自制心の無さ、不安定などからくるいじめ行為の幼稚さなどのアンバランスが「うーんこの年代って難しいなあ、苦しいんだろうけどなあ」という感じだった。
コウコが宗教に興味を持って大学もそれに因んで選ぼうとしている、という記述は梨木さんご本人もそういう学科出身だし、「おーここでこんなこと書いてあったんだ」と改めて。

それにしても本能で生きている熱帯魚の行為を人間と神のそれに置き換えてどうこうする、というのはすごく違和感があった。今回のケースだと、エンジェルフィッシュの暴走を誘発したのはコウコがよく調べもしないで安易に「きれいだから」とかいう理由で行った行為の代償で悪いのはつまり「人間」だし、人間が戦争などで他の民族などを殺戮していくのは理性を持って行動すべき「人間」が感情や利権などさまざまな身勝手から行った結果なのだから責任は「人間」にある。エンジェルフィッシュを人間が誤って導いたことと人間が間違ったことを神様のせいだと比喩してごっちゃにするのはおかしくないか。というか魚に夢を見過ぎである。生き物を飼うということを人間の道具にするからである(熱帯魚を観たら精神が落ち着くとか)。最初にエンジェルフィッシュが暴走を始めた時点でエンジェルフィッシュをどうにかするのが生き物を飼う人間の責任じゃないのかな。
「私が悪かったね」と神様も思っているとしたら救われるね、とコウコたちが云うシーンは美しいケドものすごく感情に流されていて責任転嫁も甚だしい、と共感できなかった。私は別に無神論者じゃないけど、人間がおろかなのは人間のせいだとしか思えない。

最後のところでツネがさわこの為に彫ったと思われる木彫りの天使をコウコが見つけるが、ああもう少し早ければさわこに届いたのになあと悲しくなった。さわこが後年、木彫りをするのはツネの影響なんだろうなあ。
少女というか、人間のこころの弱さが招いていくいろんな悲しいことがたくさん書いてある話で、読み終わった後しばらくずっとシーンとこころが暗く沈んでしまった。悲しい話だ。
2014/07/11|絵本・児童書・画集  
フキンシンちゃん (エデンコミックス)
長嶋有
マッグガーデン (2012-04-14)

■長嶋有
ということで、この長嶋さんの描いた(というかソフトを使って作った?)コミックが発売されたのはもっと前なんだけどネットとかで一部を読んで「うーんよくわからん」と保留していたもの、『問いのない答え』を読んでその登場人物の中にフキ子ちゃんが出ていて興味を持っちゃったので遅ればせながらアマゾンでポチりました。

2回通読しての感想ですが……やっぱよくわかんないっス。
「不謹慎」ってこういうことと違う気がするんだけどなあ。フキンシンちゃんはそういうテーマが好きなだけと違うの?

第7話がすごいですね。これはすごくびっくりした。
あと、いろんな小ネタの解説が最後にあるのも助かります。
コミpoというツールはどうなんでしょうねえ。まだまだ不完全っぽいけど、今後進化するのかなあ。

とりあえず、いろんなベタなネタがあって笑えました。
2014/01/12|絵本・児童書・画集  
ムーミン谷の十一月 (講談社文庫 や 16-8)
トーベ・ヤンソン
講談社
売り上げランキング: 216,400

■トーベ・ヤンソン 翻訳:鈴木徹郎
このお話しにはなんとムーミン一家が登場しません。ちょっと長めの旅に出ていて、ムーミン谷を留守にしているという状況なのです(家具にほこりが積もっている描写があります)。

出てくるのは、スナフキン、ちびっこホムサのトフト、フィリフヨンカ、ヘムレンさん、スクルッタおじさん、ミムラねえさんの6人で、最初のうちは交互に彼らの章があって、途中からムーミンハウスで合流します。仲良くできればいいんですけど、みんな自分の都合と希望を強く持っているから思うようにいかないと怒っちゃう。フィリフヨンカなんて、ムーミン一家が留守なことに腹を立ててる始末。

それぞれ勝手なんですが、読んでいくととても童話とは思えない深い発言が出てきて、たとえば「女が料理とかするべきじゃ!」って決めつけられてフィリフヨンカが「料理をするのは好きだからやるのはいいけど、命令されるのはイヤだからやらないわ!」って反発するところとかね。

この6人ではスナフキンとミムラねえさんが人気キャラだと思うんですけど、彼らがたくさん出てきていろいろ様子を知れるのも嬉しいです。
2013/06/08|絵本・児童書・画集  
ムーミン谷の冬 (講談社文庫 や 16-5)
トーベ・ヤンソン
講談社
売り上げランキング: 133,743

■トーベ・ヤンソン 翻訳:山室静
ムーミンたちは冬のあいだ、松葉をどっさりお腹につめてあたたかい毛布にくるまって春がくるまで眠るのだけれども、ある年の冬、なぜだかわからないけれど、ムーミンひとりだけが突然ぽっかりと目を覚ましてしまったのでした。

初めての、冬。
雪とか、氷とか、寒くて長い長い夜(北欧の国ですもんね)。いいえそれだけではありません。夏のあいだはムーミンやしきの水遊びに使う小屋におしゃまさんや、その他「目に見えない」いろんな小さな生き物が冬のあいだだけ、やってきて棲んでいたのです。いつもの「はい虫」とはまた違うのかな。
大きな大きな雪で出来た馬(目は鏡で出来ています)は、ただの作りものと思っていたらしゃべったり走ったりするし、それよりも大きな氷姫とかも出てくるし、スキーが上手でやたらほがらかなヘムルも出てきます。そしてなんとムーミンのご先祖様まで! ムーミンは千年前は毛むくじゃらだったとか!でもご先祖様がいまもそのままずっと長生きしてるってどういうこと??? まあ、細かいことを追及するのは野暮ですね。

それとお馴染みのキャラクター、ミイもいたずらもののリス君によって眠っていたのを起こされ、スキーふうに滑ったり氷の上をスケートしたりと冬をたちまち満喫しています。ミイはほんとにどういう環境下でも我が道を行ってて良いなあ。ミイは「悲しむ」のはしないんだそうです。喜ぶか、怒るか。悲しんでも、なんにもならないからなんですって。さすがねえ。
いつものメンバーはほとんど眠ってしまっているので、今回クローズアップされたのはおしゃまさん。彼女はとってもクールで現実的で、いつもあれこれかまってもらえるムーミンはちょっと物足りなかったみたいだけど、最後のほうの湖のくだりでもわかるように根は親切なひとだったんですねえ。
そういえば、「夏まつり」も「冬」もスニフが出てきませんでした。
2013/06/05|絵本・児童書・画集  
ムーミン谷の夏まつり (講談社文庫 や 16-4)
トーベ・ヤンソン
講談社
売り上げランキング: 131,670

■トーベ・ヤンソン 翻訳:下村隆一
「夏まつり」というタイトルから、さぞや楽しくわいわい準備をして、祭りで最高潮、という流れかと思ったら全然そういう話ではない。
初夏の美しいムーミン谷だったのに火山が噴火し、津波がおしよせてきて、ムーミン谷は水に浸かってしまう。ムーミンハウスも1階は水没。家具も食料も水の中。ここらへんのくだりは、お話が事態の深刻さのわりに呑気に書いてあって(2階の床をくり抜いて上からキッチンを眺めるときれいだとか、ムーミンがもぐってカップとか取りに行ってコーヒーを古い椅子を壊して火を熾してわかすだとか、非常時キャンプみたいなノリで書いてある)、そんなに悲しい感じじゃない。
また、そのあと、流れてきた劇場に移り住むんだけど(ムーミンたちは「劇場」という存在を知らなくて、変な家!と首をかしげつつ住む)、一時岸に流れ着いたときにムーミンとスノークのお嬢さんだけ木に移って寝ていたら夜の間に家が岸から流れて行ってしまって家族離れ離れになり、さらにそのあとミイが流れの中に落ちてしまって行方不明、とか状況だけ読んでいるとかなり大変なことになるのにムーミンパパもママもミムラねえさんもあんまり慌てなくて比較的冷静というか……。もちろん「どうしましょう!」「なんてこと!」的な悲しみはあるんですけどね、なんていうかものすごい信頼感というかポジティブシンキングで、でもどっかで元気にやってるわよ、そのうち絶対会えるから大丈夫、って信じてるらしいのです。で、実際そうなんですけどね。
劇場には劇場スタッフだった住人がいて、何故か最終的にはパパが脚本を書き、お芝居をすることになっている。

このお話では、スノークのお嬢さんが女の子たちでしゃべっているときにケンカになってしまい、「洋服を着ていないくせに!」と言われるシーンがあって、ムーミンシリーズでは動物とか妖精とか出てくるけどそういえば服を着る・着ないの区分けはどうなってるのかなあとか、なんでスノークのお嬢さんはあれだけおしゃれなのに服は着ないんだろうとか、それは服を着るのがふつうというこちらの考え方の押しつけでしかないよな、とかいろいろ考えました。
また、一人旅をしていたスナフキンが「するべからず」「べからず」ばかり言っている公園番にニョロニョロの種を撒いて仕返しするところが痛快で、だけどそのあとムーミンたちが犯人扱いされてつかまっちゃったり、公園にいた小さい子どもたち24人の世話をスナフキンがしなくちゃならなくなって途方に暮れたり、いろいろヤマやタニがあって面白かったです。

ところでちびのミイはムーミンたちより体の大きさが「小さい」とは思ってたけど、このお話を読んでいたらムーミンママの裁縫箱に隠れられたり、スナフキンの帽子に乗れたりするくらい、つまり子どもと抱っこ人形くらいのサイズ差があることが判明し、びっくり。せいぜいムーミンの胸くらいの背丈はあると思っていたんだけど。アニメでは、そうだったような気がするんですが。うーん?
ちなみにウィキペディアによるとスナフキンとミイは異父姉弟だそうですが、このお話では「前に会ったときは小さすぎて覚えていない」とか言ってるだけで姉弟らしい会話は無かったです。っていうかミイのほうがお姉さんとか、違和感ありまくりなんですけど……。原作とアニメの違いのせいかしら。
2013/06/05|絵本・児童書・画集  
ムーミン谷の仲間たち (講談社文庫 や 16-3)
トーベ・ヤンソン
講談社
売り上げランキング: 164,618

■トーベ・ヤンソン 翻訳:山室静
短篇集。9つのお話。小さい子にも面白いかもしれないけど、少し世の中のことがわかりかけてから読むといっそう「深いなあ」という感じかな。

春のしらべ
いろんな束縛とか人の目とかが大嫌いなスナフキンがちょっとだけ情にほだされる話。スナフキンの人生観、考え方がよくわかります。
なお、スナフキンというのは英訳版ムーミン・シリーズから来ていて、原語ではSnusmumriken(スヌスムムリク)というそうです。発音が難しいから英訳に従ったそうです。

ぞっとする話
空想好きのホムサはそれを本当のことみたいに親に言って、「嘘をついてはいけません」と叱られ、ミイのおばあちゃんの家に逃げて行ってそこでミイと会ってオソロシイ話を聞かされ…。ミイのほうがうわ手でしたな。

この世のおわりにおびえるフィリフヨンカ
タイトルのまま。マダムたちのお付き合いってこういうイメージですね。表面だけお上品に取り繕ってるの。「杞憂」という言葉の成り立ちとかもちょっと思い出してしまう、でもこういうひといそうだなあ。

世界でいちばんさいごの竜
ムーミントロールが小さな竜をつかまえる。だけどその竜はスナフキンになついてしまう…。まるで恋愛みたいな、複雑なオトコゴコロ。ショックだけど、それを受け止めるムーミンと、竜をさらっとスマートに手放してしまうスナフキンがうーん、すごいなあ。

しずかなのがすきなヘムレンさん
ヘムレンさんはずっと親類に手配された遊園地のキップ切りの仕事をしていたけれど、年金をもらったら静かに暮らしたい夢があった。いざその夢をかなえてみたがそこへ子どもたちがやってきて…。ちょっと、ミルハウザーの小説とか思い出しました。遊園地を造る!子どもたちの手で! 絵本にしたらきれいでしょうね。

目に見えない子
母親に嫌味ばかりいわれて心を痛め、とうとう目に見えなくなってしまった女の子がおしゃまさんにより助け出され、ムーミン屋敷に連れられてくる話。この子が最後に笑顔になって、よかった。

ニョロニョロのひみつ
パパのメランコリック。一歩間違えればパパ蒸発。

スニフとセドリックのこと
物に執着するスニフが大事な犬の人形(セドリック)を手放して後悔しているのをスナフキンがなぐさめようとするが…。スニフに比喩は通じないんだね。まだ小さいんだなあ。

もみの木
ムーミン一家は冬眠するので、「クリスマス」を知らなかったが、ある年、たたき起こされて「クリスマスがやってくるから大変」と言われ…。
「春のしらべ」にもこの話にも"はい虫″が出てくるけど、著者の描いた挿絵を見るととても同じ種族には見えない。前者は動物に似ていて、この話のはコロボックルに似ている。疑問に思って調べてみたら、公式サイトの「DATA」ページに【「knytt(クニット)と、kryp(クリュープ)という二種類の生ものが「はい虫」と訳されている。】とあって、なるほどー。
2013/06/04|絵本・児童書・画集  
ムーミン谷の彗星 (講談社文庫 や 16-2)
トーベ・ヤンソン
講談社
売り上げランキング: 236,714

■トーベ・ヤンソン 翻訳:下村隆一
ムーミン・シリーズ、原作では「たのしい」よりも前に1946年に書かれたモチーフを、著者が1956年、そして1968年にも書き直した完成版だそうです。

「たのしい」の解説にもあったように、ちょっと暗いテーマ。彗星が地球のムーミン谷にだんだん近づいてきて、どんどん暑くなるわ、空は赤くなるわ、海は干上がり嫌な臭いをはなつわ……。
そんななか、天文台に彗星について調べに冒険に出かけたムーミンとスニフはスナフキンやスノークのお嬢さんと出会います。
「たのしい」では書いてありませんでしたが、どうやらスニフはムーミンたちより「小さい」つまりまだ幼い頑是ない坊やだから、わがままや「ぼくが、ぼくが」の主張をしてもみんな怒らないでいるのですね。でもスニフって言動がちっとも可愛くないんだもの。やっぱり好きにはなれないな。

↓いまは新装版が出ている模様。
新装版 ムーミン谷の彗星 (講談社文庫)
トーベ・ヤンソン
講談社 (2011-04-15)
売り上げランキング: 41,425
2013/06/02|絵本・児童書・画集  
たのしいムーミン一家 (講談社文庫 や 16-1)
トーベ・ヤンソン
講談社
売り上げランキング: 177,090

■トーベ・ヤンソン 翻訳:山室静
この文庫版のムーミン・シリーズの原作は子どものころ読んだわけではなくて、成人してから購入しました。それまでムーミンはアニメで見たり、ファンシー・グッズで親しんだりしていましたが、講談社文庫で揃っていたので「そういえば、そもそもの原典を読んでいないな」と思って読んだわけです。

アニメではノンノンとかフローレンとか呼ばれていたムーミンのガールフレンドの名前が無くて「スノークのおじょうさん」と地の文ではあり、自らを紹介する段では「わたしはスノーク家のむすめ」としか名乗っていません。これは、平安時代の女性が「菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)」とか「藤原道綱母(ふじわらのみちつなのはは)」とかしか公式には出てこないのと似ているようですが、でも彼女たちだって実生活ではなんらかの名前を家族間では持っていたはずで、スノークのおじょうさんとはちょっと違いますね。

この原作は1948年に書かれたもので、講談社文庫では1巻目になっていますが、「解説」によればシリーズの最初に書かれたものはこれではなく、1945年の「小さいトロールと大洪水」、次に1946年「ムーミン谷の彗星」という順だそうです。
どうも、この二作は出してもあんまり売れなかったみたいで、それは内容が童話にしては暗かったかららしい(山室氏解説によると「生命の不安にたいするおびえがあった」「そういう作風では、童話が成功するのはむずかしいことですし、もともとそれは童話にふさわしい題材とはいえないでしょう」)。本書「たのしいムーミン一家」は大成功で、英訳され、「ヤンソンさんの名をたちまち世界じゅうに知らせました」ということになったようです。

今回また数年ぶりに読みかえし、やっぱり面白いシーンはよく覚えていました。
スニフがすんごいわがままで嫌われる要素満載で書かれていてちょっとげんなり(発言のたびに「きいきい叫びました」とか書いてあるし、物欲は高いわ、自己顕示欲は高いわ)、なんでヤンソンさんはここまでムーミンの友だちを嫌なやつに書くんだろうと疑問に思えてしようがありません。むしろ、悪役として出てくるモランとかのほうがまともに書いてある気すらする、っていうかモランのなにがいけないの? そういうふうに生まれついたってだけじゃないの。
トフスランとビフスラン(ちっこいやつです)は、みんなのものを次々にぬすんで自分たちのものにしちゃう盗癖があるんだけど、何故かおとがめなし。スノークのおじょうさんがそれを無くして困っているとか訴えても返さないんですよ、おかしくないのかなあ。「なくしちゃったものを、誰かが見つけて自分のものにするのはOK」という文化なのかしら、ヤンソンさんのお国では…。
あと、じゃこうねずみの入れ歯を飛行おにの帽子にいれておいたらなにに変わったかが書いていなくて「わからないひとはお母さんに聞いてみましょう」って書いてあるんだけどこれもいろいろネットでググってみたけど答えが無い問題のようですね。
記憶にあったよりもスノークのおじょうさんがわがままでやきもち焼きのつまんない女の子でした。

などとマイナス面ばっかり書いてしまいましたけれども、総合的に、童話としては面白いんですよ、ほんとに。それは、「ふしぎ」と「ぼうけん」と「まほうのようなこと」が出てきて、学校も会社も無くて、みんな楽しく暮らしているという夢のようなムーミン谷だからなのかな。いろんなわがままとかもみんななんのかんので受け入れて、流していく。独特の空気だなあと思います。
2013/06/01|絵本・児童書・画集  
日本の伝説 北日本編 (偕成社文庫 3066)
松谷 みよ子
偕成社
売り上げランキング: 899,960

■坪田譲治編/松谷みよ子
以下収録話リスト。43編。
2013/05/26|絵本・児童書・画集  
著者別
条件:記事数3点以上
ぽすたあ
昔描いたイラストを読書ポスターっぽくしてみました。