コフィン・ダンサー
コフィン・ダンサー〈上〉
ジェフリー ディーヴァー Jeffery Deaver 池田 真紀子
文藝春秋 (2004/10)
売り上げランキング: 17281

■ジェフリー・ディーヴァー
久々にハード・ミステリー。数ヶ月前にネットで購入してあったのだが頭がミステリーから離れてしまったので積んであったもの、そろそろ読まなきゃなと。

このシリーズの名探偵役はいわゆるアームチェア・ディテクティヴ(安楽椅子探偵)で、事故によって四肢麻痺の身体となってしまった元ニューヨーク市警科学捜査部長リンカーン・ライム。
動けないライムの手足となって実際に現場に足を運び、様々な証拠を持ち帰る役割をするのが赤毛の美人科学捜査官、アメリア・サックス。
それと個人的に萌えるのが介護士兼助手のトム。いつもぴしっとした格好をしていて、偏屈で気難しいライムの相手を立派に務める有能な青年で、トムとライムのやりとりを読んでいると私の大好きな「ご主人様と執事」の関係を思い出す。主人の言いなりになるのではなく場合によってはきっちり筋を通し、自らの職務を全うするそのプロ精神。だいたいにおいてこのご主人は自分の身については無頓着すぎるので、やかましいくらいに気を配ってくれるトムあってこそのライムだとすら云えそうだ。

今回の事件はものすごく残忍で目的のためには手段を選ばない殺し屋がターゲット。「コフィン・ダンサー(棺の前で踊る男)」というのが彼に付けられたあだ名で、由来は唯一生きて帰った目撃者によれば腕に棺おけの前で踊る死神と女の刺青があるからだと云う。

正直上巻の前半は「あーまたややこしいことを」という感じで、事件に足を踏み入れてしまったことを面倒くさがるような気持ちがあったのだが、予想外に頭がキレる犯人と天才的に口の悪い探偵ライムとの騙し騙され出し抜き出し抜かれの応戦に段々夢中になっていった。上巻がまた、いいところで終わるもんで下巻にも飛びついて読む感じになるんだよな。

とにかくぐるんぐるんぐるんぐるんと、これでもかとどんでん返しの連続で、最後の最後まで気を抜くことができない。
第1作『ボーン・コレクター』がグロいシーン連続の猟奇殺人を扱っていたのでこの作家はトマス・ハリスみたくサイコ・ホラーを書くひとかと思っていたのだが、そうではないようで、『コフィン』は平均的なミステリー並に殺人等は起こるが、特に残酷さ残虐さを強調したものではなかった。
固唾をのみ手に汗握る展開満載の本書だが、特に、終盤の着陸前後のシーンが白眉だと思う。

翻訳ミステリー |HINOKIasunaro| 20070623
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桧あすなろ

  • HN: 桧あすなろ
  • 奈良在住



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