■奥田英朗
いまさら。という気がしないでもないけど今頃。
著者第2作にしてベストセラーの出世作を読み損ねたままずるずるきてしまったのでやっぱり読んでおこうと思ったのだけれどそれくらいの動機で読むにはやっぱりこの話は大変だし長かったなあ。奥田英朗なので文章は上手いしするする読めるんだけどなんせタイトルでもわかるように「最悪」な設定の、立場の違う三人のことが順々に書かれていってそれがどういうふうに交差して絡まりあってストーリーとしての頂上を目指すかっていう話なので。
とりあえず半分までは真面目に読んであとはだいたいわかったので流してばーっと読んでみたけど、んでこういう読み方が損なことは百も承知なんだけど、うーん、とりあえず奥田さんなので最終的には救いのある終わり方になっているんで、要は堕ちていった人間が一線を越えたあとのキレてどんぱちもうなるようになれーっ、っていう話を読みたい気分のひとにおすすめ。
なんていうか、外野からみている分には犯罪にまで走るくらいなら腹くくってそこで踏みとどまってればよかったんじゃないとかあるいはそこで止めときゃこんな大事にはならなかったんじゃないとか思えるんだけど実際のそれらのブレーキは外から全体を見ているから云えることであって、実際当事者になってみればそれらの安全弁は本当に些細なことの積み重ねだからちょっとしたことの掛け違いなのだ。だから全然他人事じゃないといえば他人事じゃなくて。そこらへんにいくつも転がっていそうなひとの家庭事情とかそういうのを書くのが巧いのですごくリアル。
最近読んだこのひとのエッセイでこのひとはストーリーとかじゃなくてデティールを書いたり読んだりするのが好きだと書いてあったのでそういう目もあって読んだんだけど、なるほどなあという感じ。ただこのひとの人間観察の細かさとかそのときの視線の向け方は大好きだし愛情があると思うけどほんと、ここまで「最悪」を3パターンも並べて書かれるとやっぱしんどかったっす。でもこんなややこしい設定の話なのにこころのどこかで安心して読めるっていうのは人柄が滲み出ている結果なんだろうな。
もっとこういうのが読みたいっていう気分のときに読めば良かったか。もったいないことしたのかもな。うーん。
大衆小説
|HINOKIasunaro| 20080615












