3月のライオン   1

■羽海野チカ
『ハチミツとクローバー』は終盤で脱落してしまったがこのひとの書くものが上手いことは重々承知している、だから今年の3月にこの新作が書店に並んだときから「あ」とは思っていた。しばらくしてあちこちで評判が聞こえるようになってきてそのときもどうしよう、と迷ったが結局手を延ばさないままでいるうちに店頭の扱いも小さくなっていった。

そして今頃ふと「やはり、」と購入してきた。とりあえず今までに5回ほど繰り返して読んだ。みんなが知っていることだから今更だけどそれでも書いておくとやっぱり「上手い」。
絵も上手いし話も上手い。台詞回しや表情やそういう細かい事象の積み重ねがすごく自然でこころに響く。

主人公、桐山零は17歳。
プロの将棋士で五段。
その世界のことは全然知らないが中学生で既にプロになっていたということだから天才の付くタイプの少年であることは容易に理解できる。
彼は両親と妹を幼い頃に事故で亡くしている。そしてそれ以後は父の友人でありプロの将棋士であった幸田氏に引き取られて育てられた。
幸田家には4歳上の香子と同い年の歩がいた。彼らにとって零は「父の愛情を奪っていく敵」でありけっして歓迎すべき存在ではなかった。
――このへんの過去の詳細はまだ1巻ということでさわりしか触れられていないが、物語はその彼が独り、川岸のなんにもないマンションの一室で目を覚ますところからはじまっていく。

零がふとしたことから知り合った川本家の三姉妹との交流がとてもあたたかい。小さいモモちゃんはとっても愛くるしいし、中学生のひなたちゃんもとっても明るくて可愛らしいし、長女のあかりは可愛くてきれいでしっかりもので優しい。

それと同じ棋士で同世代の少年、二階堂晴信!
晴信は出て来たときはなんだこいつという感じだったが人柄を知るにつけ高感度が増し、大ファンになってしまった。モデルがモデルだけに彼の行く先が非常に心配なのだが……どうか羽海野さん、二階堂を、二階堂をよろしく。ぜったい元気で長生きさせてくださいね!!

それにしても零はハチクロの真山の髪の毛を黒くしただけという感じもあるが無駄に色気があるなあ(笑)。
真山はキライだったが零は好きだぞ!
いたいたしくていとおしくて、零にもぜったい元気でしあわせに長生きさせたい。んで、その人生にもっともっと笑顔を、爆笑を散りばめさせたい。
もっと笑え、零!

……羽海野さんの書くキャラたちには思わずその幸福を願ってしまうな。

コミック |HINOKIasunaro| 20080719
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桧あすなろ

  • HN: 桧あすなろ
  • 奈良在住



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